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訪問看護でできること・できないことを紹介!サービスの範囲とは?

2025.11.21

訪問看護の利用を検討する際、「どんなことができるの?」「介護サービスとどう違うの?」と疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論として、訪問看護では看護師などによる「医療的ケア」と「生活支援」ができます。

本記事では、訪問看護で「できること」と「できないこと」を具体的にわかりやすく解説します。

そもそも訪問看護とは何なのか、訪問看護でできないことはどのようにカバーすればいいのかも紹介するので、ぜひ目を通してみてください。

訪問看護とは?基本知識を解説

訪問看護とは、医師の指示に基づいて看護師などの専門職が自宅療養する患者さんを訪問し、医療的ケアや生活支援などを行うサービスです。

訪問看護は保険適用になりますが、患者さんの年齢や疾病によって「医療保険適用」または「介護保険適用」となります。

医療保険適用介護保険適用
対象年齢全年齢対象原則65歳以上
対象者医師の指示があった患者要介護認定者
主な対象疾病がん末期、難病、急性期退院後、精神疾患など慢性疾患、加齢による身体機能低下など
必要な過程医師が訪問看護指示書を作成するケアマネジャーがケアプランを作成する
費用負担原則3割※高齢者は1~2割原則1割※所得によっては2~3割

介護保険適用での訪問看護は要介護認定を受けた方しか利用できませんが、医療保険適用での訪問看護は医師が必要だと認めれば赤ちゃんでも利用できます。

訪問看護を検討するなら、まずは主治医かケアマネジャーに相談するところから始めましょう。

訪問看護でできること・できないこと一覧

訪問看護は看護師などの専門職が行いますが、職務に沿ったサービスしか提供できません。

訪問看護でできることとできないことは明確に分かれているので、まずは希望するサービスが受けられるか確認してみましょう。

訪問看護でできること・できないことを一覧表にまとめたので、ご覧ください。

訪問看護でできること訪問看護でできないこと
・健康状態の確認・測定
・医師の指導による医療処置
・服薬管理
・リハビリテーション
・終末期ケア
・入浴介助や排せつ支援などの衛生管理
・療養相談や家族へのサポートなど精神的な支援
・医師の指導がない医療行為
・日常生活の援助
・長時間のサポート

訪問看護でできないことは、介護サービスなどの利用でカバーできる場合があります。

次の項目からは訪問看護でできること、できないことを具体的に解説していきます。

訪問看護でできることは主に2種類

訪問看護でできることは、主に「医療的ケア」と「生活支援」の2種類に分かれます。

医療的ケア生活支援
・健康状態の確認・測定
・医師の指導による医療処置
・服薬管理
・リハビリテーション
・終末期ケア
・入浴介助や排せつ支援などの衛生管理
・療養相談や家族へのサポートなど精神的な支援

医療的ケアは医師が作成した訪問看護指導書に基づいたことのみ、行えます。

また、生活支援はあくまで医療的ケアの延長として行われる衛生管理や療養相談が中心となります。

訪問看護でできることを、さらに詳しく解説していきましょう。

医療的ケア ①健康状態の確認・測定

訪問看護では患者さんの健康状態を確認するために、バイタルサインの測定を定期的に行います。

主に体温や脈拍、血圧の測定や呼吸状態の確認を行い、患者さんの病状に変化や異常がないかを調べます。

安心して在宅療養を行うためにも、看護師による健康チェックは必要不可欠です。

医療的ケア ②医師の指導による医療処置

主治医から指示があった場合に、訪問看護で医療処置が行えます。

例えば、注射や点滴の実施、カテーテルや人工呼吸器など医療器具の管理、床ずれケアなどが挙げられます。

訪問看護を利用すれば、病院でしかできない看護師による処置も自宅で受けられるのがメリットです。

医療的ケア③服薬管理

訪問看護では、患者さんに出た薬の管理や状態の確認を行います。

具体的には、処方された薬の飲み忘れがないか、副作用はないかなどの確認などが含まれます。

薬について不安や疑問がある場合も、気軽に相談できるので安心です。

医療的ケア④リハビリテーション

医師の指示書に基づき、看護師や理学療法士、作業療法士などが自宅で必要なリハビリテーションを行うことも可能です。

病後や術後に日常生活へ戻るための機能訓練を行ったり、身体機能の回復や維持を目的としたトレーニングを行ったりします。

医療的ケア⑤終末期ケア

在宅療養を行われる患者さんの中には、最期までご自宅で安心して過ごしたいという方もいらっしゃいます。

訪問看護では痛みを緩和するためのケアや健康管理などを行い、患者さんが穏やかに過ごせるようサポートします。

また、家族への看取り支援や亡くなった後の処置(エンゼルケア)も希望に合わせて行えます。

生活支援①入浴介助や排せつ支援などの衛生管理

生活支援は介護サービスに分類されるものも多いですが、医療機器を付けている患者さんをサポートするための入浴介助は訪問看護でも行えます。

介護サービスでの入浴介助は寝たきり状態など、ご自分の力で浴室まで行けない方などを対象に行いますが、訪問看護での入浴介助はあくまで医療機器の取り扱いや管理のために行われます。

また、訪問看護での排せつ支援は浣腸や服薬によって排便を促すなど、医療行為を伴うサポートを指します。

介護サービスでの排せつ支援はトイレまで付き添ったりおむつを交換したりといったサポートが中心となるため、目的や内容が異なります。

生活支援②療養相談や家族へのサポートなど精神的な支援

訪問看護では患者さんやご家族の要望や不安に応じて、看護師や栄養士、薬剤師などの専門職が療養や食事内容、服薬などの相談も行ないます。

また、在宅療養はご家族の負担も大きいため、相談に乗ったり看病する上でのアドバイスを行ったりするなど、精神的なケアも訪問看護でできることのひとつです。

加えて、医療保険適用になる精神疾患の患者さんには、カウンセリングなど精神的なサポートも行います。

訪問看護でできないこと

訪問看護では、主に以下のことができません。

  • 医師の指導がない医療行為
  • 日常生活の援助
  • 長時間のサポート

訪問看護でできないことを具体的に紹介するとともに、他のサービスでカバーできるのかも解説します。

医師の指導がない医療行為

訪問看護は医師の指示書に沿って行われるのが原則です。

主治医の診断や指示なしに医療行為や処方箋は出せないため、新たな治療や服薬を希望する場合は訪問診療や病院での受診を行う必要があります。

日常生活の援助

訪問看護で担えるのは、あくまで療養や健康維持に関係したことです。

外出が難しい患者さんや認知症の方の日常生活を援助するための業務は、訪問看護では対象外となります。

例えば、家事代行や買い物、病院などへの付き添いはホームヘルパー(訪問介護員)に依頼することでカバーできます。

ただし、患者さんや要介護の方の身の回りのお世話は一部が介護保険適用外となり、10割負担となる場合もあります。

長時間のサポート

訪問介護は基本的に、1回の訪問あたり1時間30分未満と利用できる時間が決まっています。

家族が不在になる間など患者さんの長時間の見守りをお願いしたい場合は、訪問介護や通所介護(デイサービス)などの介護施設を利用できます。

ただし、特定の疾病や症状、精神疾患のある患者さんに限っては1時間30分を超える訪問看護が利用できる場合もあります。

訪問看護を利用する流れや窓口

訪問看護を利用する流れは、医療保険の適用となるか介護保険の適用となるかによって異なります。

  • 医療保険で訪問看護を利用する流れ
  • 介護保険で訪問看護を利用する流れ

それぞれのパターンで訪問看護を利用するまでの流れを確認してみましょう。

医療保険で訪問看護を利用する流れ

医療保険で訪問看護を利用する場合は、主に以下の流れとなります。

  1. 主治医が訪問看護指示書を作成
  2. 訪問看護ステーションと利用契約を結ぶ
  3. 主治医と看護師などが連携して訪問看護計画を立てる
  4. 利用開始

訪問看護に医療保険が適用となる場合は、まず医師が訪問看護を認める「訪問看護指示書」が必要です。

その後、最寄りの訪問看護ステーションに申し込みを行い、契約後に患者さんの希望や病状にあった訪問看護計画が作成されて利用を開始できます。

医療保険適用での訪問看護を検討中で不安や疑問点がある方は、まず訪問看護ステーションへ問合せて相談してみるのがおすすめです。

介護保険で訪問看護を利用する流れ

介護保険で訪問看護を利用する場合は、まず担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

要支援・要介護認定を受けていない方は、まず介護保険認定の申請を受けた上でケアマネジャー等に訪問看護の利用を相談します。

  1. 要支援・要介護認定を受ける
  2. ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに訪問看護の利用を申し出る
  3. ケアマネジャーまたは地域包括支援センターがケアプランを作成
  4. 主治医が訪問看護指示書を作成
  5. 訪問看護ステーションと利用契約を結ぶ
  6. 主治医とケアマネジャー、看護師などが連携して訪問看護計画を立てる
  7. 利用開始

介護保険を利用して訪問看護を受ける際は、その旨を含めてケアマネジャーまたは地域包括支援センターがケアプランを作成する必要があります。

かかりつけ医に訪問看護指示書を交付してもらったら、ケアプランに基づいて訪問看護の回数や内容などの計画が立てられます。

訪問看護でできること・できないことのまとめ

訪問看護では主に、医師が必要と認めた医療や健康維持に必要な業務のほか、患者さんや家族へ療養のための精神的なサポートができます。

訪問看護でできること訪問看護でできないこと
・健康状態の確認・測定
・医師の指導による医療処置
・服薬管理
・リハビリテーション
・終末期ケア
・入浴介助や排せつ支援などの衛生管理
・療養相談や家族へのサポートなど精神的な支援
・医師の指導がない医療行為
・日常生活の援助
・長時間のサポート

ただし、医師の指示がない医療行為や家事代行などの身の回りの世話、長時間に渡る見守りはできません。

患者さんの状況やご家族の希望に合わせて満足のいく療養や介護を受けたいのであれば、訪問看護と合わせて介護サービスなどを組み合わせましょう。

コノハでは患者さんやご家族が安心してご自宅で過ごせるよう、訪問看護や通所介護などのサービスを提供しています。

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